UV印刷トラブル問答
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1 | そもそもUVとは? | 紫外線「Ultra Violet」のことです。一般的に200nm~400nmを指します。UVインキは250〜400nmのUV光を吸収し反応硬化します。 ![]() |
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2 | UVインキと油性インキは何が違うの? | インキ皮膜を形成する硬化の仕組みが違うため、その組成となる材料も異なります。UVインキはUVエネルギーに反応し固まる組成であり、油性インキは酸素と反応(酸化重合)し固まる組成となっています。一般的には下表の通りです。 ![]() |
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3 | UVインキは何故固まるの? | UVエネルギーを受けたUVインキ中の光開始剤の反応が開始します。その反応によりモノマーやオリゴマーが次々に結合し、強固な皮膜を形成します。 | |
4 | 紫外線の身体への影響は? | 太陽光も同じですが、紫外線を浴びすぎると身体には良くありません。しかし、印刷機のUVランプは光が漏れない様に遮光されています。デリバリーより漏れる青白い光は、可視光線に近い波長のため、身体に影響はありません。 | |
5 | UVインキは手で触っても大丈夫? | UVインキに限った事ではありませんが、直接触れないように注意ください。作業の際は手袋の着用をお願いします。もし、直接皮膚に触れた際は、早急に流水で洗い流し、場合によっては医師による手当てをお勧めします。ご使用の前には、必ずMSDSをお読みください。 | |
6 | UVインキの特徴は? | 紫外線を受け瞬時に硬化することが最大の特徴です。それ以外にも、NonVOCであること、皮膜が硬いことなどがあります。 | |
7 | 逆にUVインキのデメリットは? | 瞬間硬化であるため、インキ皮膜のレベリングがなく、油性インキに比べ光沢を出すことが難しいです。他、UV特有のトラブルもありますので、『UV印刷トラブル問答』をご参照ください。 | |
8 | UV印刷は特別な資材が必要? | 高価なUVインキをより良い条件でご使用頂くために、油性インキとは異なる資材が必要となります。弊社営業か、印刷機メーカーにお問い合わせください。 洗浄液:UVインキ用の洗浄液「UV ローラー洗浄液 F」や「UVプレートクリーナー」など ローラー:各社UVインキ用の樹脂ローラー ブランケット:UVインキ用のEPDM系ブランケット「DAY 4100」など(ただし、インキタイプや印刷条件により選択することが重要となります。) 含浸自動洗浄布:各社UVインキ用の含浸自動洗浄布 印刷版:各社UV印刷用の版材(樹脂版含む) |
洗浄液 UV ローラー洗浄液F ブランケット DAY 4100 DAY 482 |
9 | UV印刷には排気ダクトが必要? | オゾンは250nm以下の波長で発生します。オゾンは身体に影響があるばかりではなく、鉄の酸化を早めるため、強制的に排気する必要があります。250nm以下を発光しないUVオゾンレスタイプのUVランプやLED-UVランプであれば排気ダクトは必要ありません。 | |
10 | 密着とは何? | 特に非吸収紙、ホイル紙、プラスチック原反において、インキが基材に付きにくく、セロテープで安易に剥がれる場合があります。印刷基材に適したインキを選定頂くことと、印刷時及び製品使用状況下での密着確認が必要です。 | トラブル問答 2.密着不良 |
11 | UVインキ、UV印刷物のあの臭いのもとは? | インキの場合にはモノマーや光開始剤の臭いによるものです。印刷物については、UV照射時に乾燥が不完全な場合にモノマーや光開始剤などの分解物臭が残ることがあります。ただし、完全に乾燥すれば臭いも少なくなりますので、UVインキは食品や化粧品パッケージにも使用されています。 | |
12 | 窒素置換とは何? | UVインキの反応過程において酸素が反応阻害要因となります。窒素をランプハウスに強制注入することで酸素が排除され、UV硬化の反応が迅速に進みます。硬化性も良く、少量の開始剤で済むことも合わさり、臭いも極めて少なくなります。フレキソなどのWEB印刷で実績があります。 | |
13 | 膨潤とは何? | ローラーやブランケットとインキ・洗浄液との相性が悪く、ローラーが太鼓状に膨らんだり、ブランケットが絵柄の通り膨らむ現象を言います。膨潤することでニップ圧が変わる為、ローラーではインキの練りが、ブランケットでは前の仕事の絵柄が次の仕事に影響が出たりします。膨潤耐性のある資材をご使用ください。 | トラブル問答 4.印刷不良 417 |
14 | UV印刷に向かない分野は? | 特に不向きな分野はありません。 但し、様々な用途で使用される為、実際の使用条件に合わせた事前確認テストが重要となります。 |
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15 | UV印刷は食品パッケージに使用しても大丈夫? | UV印刷を食品パッケージへ使用することは問題ありません。但し、UVインキに限らず、一部の特殊インキを除いてほとんどの印刷インキはインキ面が直接食品と接することは避ける必要があります。食品を内袋で包装する、インキ面にラミネート加工するなど、直接触れないように工夫が必要です。食品パッケージに印刷する際は、食品と印刷面が直接触れることを避けた上で、インキはインキ工業連合会の"NL規制"に適合したものをご使用ください。 | |
16 | UV印刷のCMSは難しい? | 油性インキに比べ、ウェットトラッピングが劣るため、理想な二次色を出すことが難しいです。また、ドットゲインする傾向にあるため、最適なブランケット(DAY 4100など)を使用した上でUVインキでのプロファイル作成をお勧め致します。 | |
17 | UVインキは乳化し易いってホント? | 樹脂の特性上、油性インキに比べ水幅が狭く、乳化し易い傾向にあります。特に非吸収紙用のインキは更に水幅が狭く、また原反上に水が余ってしまう為、後胴ほど乳化する傾向にあります。地汚れ寸前まで水を絞って印刷することをお勧めします。 | |
18 | UVインキは冬になると極端に硬くなるのは何故? | UVインキは組成・設計上、油性インキと比較すると温度の影響を受け易く、気温の低下とともに硬くなり流動性が悪くなります。冬場は、印刷機の暖機運転と、刷り出し用に数キロ保温しておくか、レジウサーで調整することをお勧め致します。 | |
19 | UVの金銀は発色悪い? | 以前のUVインキの金銀の発色は今ひとつでした。 しかし、弊社の開発したUVゴールドTK-SO及びUVシルバーTK-SOは油性インキと遜色ない発色をご提供致します。 |
UV ゴールド TK-SO UV シルバー TK-SO |
20 | UVでも水なし印刷は出来るの? | 油性インキ同様、水なし平版用UVインキもご用意しております。紙用、フィルム用、そしてKBAジーニアス用もご用意しております。 | UV 171 シリーズ |
21 | UV印刷で出来る環境アピールは? | UVインキは一部を除き、ノンVOCインキですので、弊社の"VOCフリーマーク"を印刷物に貼付することが出来るほか、"GPマーク(水準2)"、"クリオネマーク"も可能です。また、SOYAシリーズは"植物油インキマーク"を、RICEインキは"植物油インキマーク"及び"ライスインキマーク"を貼付できます。"エコマーク"認定インキは、"エコマーク"のほか、"GPマーク(水準1)"に対応しています。171シリーズは"バタフライマーク"対応です。 | 環境対応製品 |
22 | 擬似エンボスとは何? | 下地の弾くニスでパターンを印刷し、その上にコートニスを塗布することで、下地のハジキニスのある部分がザラザラ状になることで、下地にニスがない部分と対照的な光沢感が表現されます。PS版で下地を印刷するため、簡単に細かいパターンを形成でき、デザインに奥行が生まれます。 | UV コートニスHTA-W UV コートニスGLA UV HJK 下刷りニス |
23 | UVインキの密着具合を確認するには? | 幅15mm程度のセロテープを使用します。セロテープの先端を持ちながらインキ面に指の腹でしっかり貼り、インキ面とセロテープの角度45度を保ちながら瞬間的に引張り剥がす方法が一般的です。より厳しいテストが必要な場合は、インキ皮膜にカッターナイフで1mm間隔の縦横11本の切り込み(原反が切れないように)を入れ、先述と同様にセロテープで剥がす方法(クロスカット法)もあります。また、印刷物が濡れたり、冷蔵・冷凍される可能性がある場合は、印刷物を数時間浸水した後、簡単に水気を拭いて、乾く前に同様のセロテープで剥がす(耐水密着試験)があります。 | |
24 | フィルム用のインキは乾燥性が悪いのはなぜ? | フィルム用は密着性を重視した設計をしています。UVインキに使用する材料は、密着と乾燥は相反する性質を持っており、密着性の良好なインキは一般紙用インキより硬化が劣ります。 | |
25 | レジウサーとコンテックスの使い分けがよくわかりません。 | レジューサー:粘度調整剤→タック(粘り)は低く、フローが長くなります。No.2UVコンテックス :腰切り剤→タック(粘り)は低くなりますが、フローはあまり変わりません。 | |
過剰添加は硬化不良や密着不良の原因となります。5%を最大として添加してください。また、インキタイプでレジューサーが異なりますので、弊社営業にお問い合わせください。 | トラブル問答 1.硬化不良 106 |
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26 | 臭気の少ないインキはありますか? | 取り揃えております。弊社営業にお問い合わせください。なお、UVインキは油性インキより臭気は少なくなっていますが、油性インキとは異なった臭気ですので、人によっては強く感じる場合があります。 | |
27 | UVインキのカタログを見ましたが、種類の多さに驚きました。 | UVインキの特徴でもある使用用途の広さ故、各種印刷方法、印刷条件、印刷基材(原反)、後加工方法、印刷物の使用場面に合わせたインキが必要となり、インキのタイプが多くなりました。インキタイプの選定に際しては、弊社営業へお問い合せをお願いします。 | |
28 | 油性インキとの濃度差はあるのか? | UVインキのプロセスカラーは油性インキとほぼで程度の濃度に処方設計しております。ただ、乾燥方式の違いにより、表面のブロンズ感などが違い、異なって見える場合があります。 | |
29 | ジャパンカラーに対応したUVインキはあるの? | ジャパンカラー対応のプロセスインキを取り揃えております。 但し、インキとしての色調は基準内に入っていますが、網点再現性、ドットゲイン、2次色のトラッピングが異なりますので、貴社の印刷条件にあったCMSが必要となります。 | |
30 | UVインキでも広色域印刷はできるの? | 可能です。弊社担当営業へお問い合わせください。 | |
31 | UV印刷は、ノンアルコールで印刷できるの? | 可能ですが、印刷機の給水機構に適したH液の選択が必要です。フィルム印刷では乳化が懸念されますので、より注意が必要です。詳しくは弊社営業にお問い合わせください。 | |
32 | UVインキの上に油性のOPニスを印刷できますか? | 下地のUVインキのタイプにより、オフラインでのみ印刷可能です。UVインキ皮膜上はフィルムと同じ状態となっており、油性インキのセット乾燥が悪くなりますので、OPニスの選定やパウダー量にご注意ください。 | |
33 | 油性とUVインキを同時に印刷する事は可能でしょうか。 | 油性インキとUVインキの絵柄の重なりがなければ理論上は可能ですが、UV照射とパウダー散布を同時に行いますので、UVランプに悪影響を及ぼしますので、お勧めはできません。油性インキとUVインキの絵柄の重なりがある場合はオフラインでも、インラインでもUVインキは密着しません。しかし、パウダー対策として油性インキ上に全面印刷できる専用のUVOPニスはラインナップしております。 | |
34 | 油性と比べてUVが逆トラしやすいのは何故? | UVインキでもプロセスでの使用を考慮し逆トラをしにくいタックバランスとなっています。しかし、UVインキは無溶剤で紙へのセットがないため前胴のインキの増粘がなく、逆トラが起こり易い傾向にあります。助剤によるタック調整で逆トラが直らない場合、胴仕立てやブランケットの調整で改善することがあります。 | トラブル問答 4.印刷不良 407 |
35 | 油性インキに比べUVインキが硬いのは何故? | 油性インキとUVインキは、タック、粘度に大きな違いはありません。しかし、UVインキはフローが短く(チキソトロピック)で、かつ無溶剤の為、ヘラ触りで硬く感じる傾向にあります。 | |
36 | 金銀を冷蔵保管する理由は? | 金属粉が硬化の触媒となり、通常インキよりゲル化しやすくなっております。安定保存するためにも、反応が抑制できる冷暗所(15℃以下)での保管をお願いします。 | |
37 | ゲル化って何? | インキがゲル状(固体状)になり、ヘラなどが刺さらない状態です。UVインキは未開封であっても容器の底の方からゲル化が始まることが多い傾向にあります。 | トラブル問答 3.インキ不良 301 |
38 | 指紋が付きにくいニスってあるの? | コーター用のハイグロスタイプとしては「UV コートニス FPR」を上市しております。 | UV コートニスHTA-W UV コートニスGLA UV HJK 下刷りニス |
39 | 他社のUVインキと混ぜて使用していいの? | UVインキは各社各タイプで使用する原材料が異なります。このようなインキを混ぜると、硬化性や密着性などの物性や各種性能が低下したり、ポットライフが短くなります。従いまして、他社インキとはもちろんですが、同じメーカーでもタイプの異なるインキは混ぜないようお願いします。 | |
40 | ピンク・紫・ボタン等がブリードを起こすのは何故? | ピンク・紫・ボタン・群青などには、より鮮明な色調があり、そのインキにはファナール系顔料を使用しています。この顔料は耐溶剤性など耐性が弱く、ブリードや変色等が発生し易くなります。後加工や使用条件を見直すか、若干彩度明度が劣りますが、より耐性の強いインキの使用をお願いします。耐性については耐性表をご覧いただくか、弊社営業までお問い合わせください。 | トラブル問答 5.印刷物不良 510 |