TCFD提言に基づく情報開示

T&K TOKAの気候変動対応

T&K TOKAは、気候変動をグローバルかつ、喫緊の課題であると認識しており、自社の事業活動の推進において気候変動の対応が重要な経営課題のひとつであると認識しています。当社では、印刷インキおよび印刷用・塗料用・接着剤用合成樹脂の製造・販売、印刷関連諸資機材の販売、輸出入貿易を主な事業として行う中で、2002年に埼玉事業所でISO14001を認証して以降、低炭素社会、循環型社会への順応、そして化学物質の適正管理を目的とし、さまざまな環境配慮への活動に取り組んでまいりました。近年、世界でカーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発化する中、化学産業においてはイノベーションを生み出し、事業を通じた社会全体のカーボンニュートラル達成に貢献することが強く求められています。当社においても、省電力UVインキの開発や、バイオマス原料を使用した製品の開発など、GHG削減に貢献する製品の拡大に向けた取り組みを推進しています。
T&K TOKAは、気候変動に関連する財務情報について、TCFD提言で推奨されている以下の項目に沿って情報開示を行います。

TCFD提言への賛同を表明しました
ガバナンス 戦略 リスクマネジメント 指標と目標
  • TCFD…金融安定理事会によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース。
    2017年6月、気候変動の影響を金融機関や企業、政府などの財務報告において開示することを求める提言を公表した。

ガバナンス

当社は、自社の持続的成長と事業活動における気候関連リスクと収益機会に係る監督機能の強化のため、2022年6月にサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会は、業務執行部門と取締役会の間に位置し、コンプライアンス委員会・リスク管理委員会・投資委員会の統合運営となり、毎年2回開催予定です。
サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長をつとめ、独立社外取締役3名、事業担当取締役1名、管理担当取締役1名で構成されています。
気候関連問題に関する委員会の具体的な責任は、自社のサステナブルな取り組みの集約・整理と、気候関連等のリスクと経営戦略・経営課題等の整合性をモニタリングすることです。
委員会の主な目的は、サステナブルな課題の特定並びに経営課題とサステナブル課題の整合性を意識した取り組みの検討であり、今後、サステナビリティ委員会で審議された内容は、半期に1回、取締役会内に位置する監査等委員会に報告、審議されます。
また、取締役会においてはサステナビリティ委員会にて審議された、気候変動問題に対応するための事業戦略や行動計画、リスクマネジメント、目標等を含めた業務執行に関する重要事項の審議および議決について監督を行います。(毎月1回開催)

ガバナンス体制図 ガバナンス体制図

気候変動関連リスクマネジメント

当社は、全社のリスク管理体制を定めており、気候関連リスクおよび機会については以下のプロセスを実装しています。

  • 1
    サステナビリティ委員会の下部組織である環境部会は経営企画部を事務局として、T&K TOKA全社の気候変動関連リスクと機会の洗い出し・評価を行う。リスクはリスク管理委員会を経由し、機会については各部門・グループ会社より直接洗い出し、および評価が行われる。
  • 2
    環境部会において気候変動関連リスクマネジメントに係る方針、対応計画の策定を行う。
  • 3
    各部門・グループ会社は、計画に沿いリスクの回避・低減・移転など適切な対応を取る。
  • 4
    環境部会は年2回サステナビリティ委員会へ、同委員会は年1回取締役会へ、気候変動関連リスクマネジメントの効果や成果、対応の進捗状況について報告を行う。
気候変動関連リスク管理体制

戦略/シナリオ分析の前提条件

T&K TOKAは、脱炭素社会への移行に伴い、不確実性の高い将来を見据え、どのような気候変動に関連したビジネス上のリスク、また機会が顕在化し得るかについて、TCFD提言に基づき、脱炭素への取り組みが進んだ2℃以下のシナリオと現状のまま社会が進んだ場合の現行(4℃)のシナリオのそれぞれにおいてシナリオ分析を行い、2050年における事業インパクト評価を行いました。
シナリオ分析では、T&K TOKA単体を対象としており、これには原料調達を含めたサプライチェーン全体を考慮しています。また当社では、気候関連のリスクと機会を短期(1年~3年)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸により特定、分析、評価しています。

移行シナリオ 物理シナリオ

(参考)各シナリオにおける平均気温の変化を示した図表

IEAにおける移行シナリオ別の世界平均気温の変化 IEAにおける移行シナリオ別の世界平均気温の変化
IPCC第6次評価報告書における物理シナリオ別の世界平均気温の変化 IPCC第6次評価報告書における物理シナリオ別の世界平均気温の変化

戦略/気候関連リスク

気候関連リスク

戦略/気候関連機会

気候関連機会

戦略/シナリオ分析結果

2℃以下シナリオにおける財務インパクト(営業利益への影響評価)

シナリオ分析結果 リスクと機会
ウォーターフォールグラフ
当社の事業への大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク
4炭素税の導入によるコスト増加 IEA WEO2022の炭素価格をもとに、自社のScope1・2が成り行きの場合の2050年時点におけるインパクトを算出しました。その結果1.5℃世界実現のためには税負担が最もインパクトの高いリスクであることが分かりました。
6気候の変化およびバイオマス原料の需要増加に伴う調達難によるコスト増加 IPCC第6次評価報告書で提示されている高温の発生頻度を算出パラメータとして使用し、事業インパクトを評価しました。その結果代替不能な自然由来原料の調達難の影響が比較的大きいことが分かりました。
当社の事業への大きな影響を及ぼす可能性のある機会
13EBインキ市場の拡大による売上高の増加 当社の中期経営計画の注力分野と位置付けており、2030年の売上目標値を考慮した場合、2050年においても事業におけるインパクトは大きいことが分かりました。
18製造プロセスの効率化。高効率設備の導入によるエネルギー消費の削減、設備の自動化などにより、製造効率が向上し、エネルギーコストが低減される。 IEA ETP2017のエネルギー削減量からエネルギー削減率を算出し、当社における財務インパクトを評価しました。その結果、エネルギー効率の向上によるコスト削減の影響も比較的大きいことが分かりました。

現行(4℃)シナリオにおける財務インパクト(営業利益への影響評価)

シナリオ分析結果 リスクと機会
ウォーターフォールグラフ
当社の事業への大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク
6気温上昇時の作業環境・作業効率の悪化によるエネルギーのコスト増加 IPCC第6次評価報告書で提示されている高温の発生頻度を算出パラメータとして使用し、事業インパクトを評価しました。その結果、エネルギーコスト増加の影響が比較的大きいことが分かりました。
当社の事業への大きな影響を及ぼす可能性のある機会
8 気温上昇による行動様式の変化(遠隔地リモート会議やWEBセミナーの増加)、IoTの進展により、ディスプレイや光ファイバーの需要が増加 ディスプレイ市場予測を使用して事業インパクトを評価しました。その結果、リスクと比較してインパクトは小さい一方で機会となり得ることが分かりました。

戦略/事業インパクトへの対応

事業インパクトへの対応

戦略/アクションの方向性

シナリオ アクション

指標と目標

気候変動に対する機会・リスクの対応の一環として、T&K TOKAでは以下の指標と目標を定めています。

指標と目標

サステナビリティ

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